“針絡漢®”に対する
“人体臓腑経絡ドック”の役割とは?
東洋医学でいう健康とは、いわゆる体の「気・血・水」、すなわち「エネルギーと物質」が平衡状態にあることを意味しています。この「気・血・水」の理論体系を根底から支えているのは、中国の最古の医書「黄帝内経」に源流する“経絡”の概念です。
しかしながら経絡の存在や意義については、数千年にも及ぶ中医学史においても肯定的に捉えることはなかなか難しかったため、中医学や東洋医学の医療の在り方についてさえ、今日においてもなお曖昧模糊とした側面があることは否めない事実です。
しかし近年になって、東洋医学上の一つの大きな転機を迎えました。それは1960年代のキム・ボンハン教授の動物実験を始めとして、日本の藤原氏や1980年代のフランスのヴェルヌール氏などの精力的な研究により、生体には経絡が存在し様々な組織細胞の生命機能の発現に関与していることが明らかにされたのです。これをきっかけに経絡自体の解剖生理学的な位置づけ、および経絡と他の生体組織や臓器との関係について大きな研究成果が上げられてきました。
中でも経絡の生物電気特性に着目し開発された日本の“良導絡”を皮切りに、“科学的根拠”に基づいた「経穴・経絡電気エネルギー測定分析法」の開発は経絡学的診療の発展に大きく寄与しました。
当クリニックでは上記の「経穴・経絡電気エネルギー測定分析法」に基づいた“人体臓腑経絡ドック”の検査を実施することにより、まず患者様一人一人の経絡や経穴の生理機能的反応を把握します。さらにその反応の変化を通して、体の「気・血・水」のバランスの変動や「五臓六腑」の健康状態を精査することにより、現在の病状はもとより未病の状態をも発見していきます。
常により一層精度の高い“針絡漢”の東洋医学的診療を目指していく上での大変有用な検査診断方法ですので、是非お勧めさせていただきたいと思います。
“人体臓腑経絡ドック”の特徴とは?
一般の西洋医学的な人間ドックは、内視鏡や画像などによる形態学的診断、および血液や尿などの生体試料による臨床検査などを主体とするものですが、東洋医学的な“人体臓腑経絡ドック”は、そのような検査とは一線を画し、本来人体の持っている、いわゆる“生物の電気現象”の測定を通して、体の機能性変調や不具合なところをスクリーニングするのが最大の特徴です。
“生物の電気現象”とは?
“生物の電気現象”、とは、人体の個々の細胞内外の間に存在している“電気エネルギー”のことで、極めて低い周波数に長い波長を持つ電磁波の特性を備えており、1950年代にドイツのフォル医師によって発見されました。その電気現象は、正常な人体の皮膚表面の数々の特定の場所(測量点)に、常に一定した微小電流として特殊な電圧の誘導装置によって導出されます。
各々の測量点で検出された微小電流、すなわち“電気エネルギー”は、それぞれの由来している組織細胞の生命活動性を反映しています。そのため、それらの変化を把握することによって、部分的に諸組織臓器の生理機能の度合を知ることができますし、さらに総合的に生体全体の健康度合いを判断する大変有用なバロメーターとなるのです。
“生物の電気現象”はどのように
“人体臓腑経絡ドック”に応用されるのか?
特殊な電圧の誘導装置によって導出され、体表に現れる微小電流の箇所を印した図を「皮電図」と言いますが、なんと驚くべきことに、この「皮電図」の配列は、数千年前に中国の古医書の中に記された「経絡図」の内容とほぼ一致しているのです。この「皮電図」と「経絡図」との相関性から、1950年代以降世界各国において、経絡や経穴に関する“電気エネルギー医学”の研究が一大潮流となり、特に“経絡医学”の科学的な理論検証や、臨床応用の面で数多くの成果が上げられました。
そのなかでも最も重要な知見としては、人体のすべての組織器官、「五臓六腑」と繋がっている経絡や経穴の電気エネルギーを測量して、その変化を知ることにより、逆にそれぞれの経絡や経穴と関わり合いのある諸組織や臓器の機能性変調を簡単に知ることができるのではないかと推論されたことです。
「経穴・経絡電気エネルギー測定分析法」は、正にこのようなバックグラウンドの中で開発され、進化し続けてきたものです。体表の電気エネルギー量の変化を知ることにより、すでに表面化した病気の転帰や追跡もさることながら、特に症状もなく、そして一般の西洋医学的検査でも発見できない生理的変調、すなわち“未病”を早い時期から見つけることができます。つまり“人体臓腑経絡ドック”は、現代の“電気エネルギー医学”と、古来の“経絡医学”との融合から生み出された、一つの新しい人体の健康度合いをスクリーニングする概念と方法なのです。
電気エネルギーの測量結果は、
実際どのように組織器官の問題発見に結び付けられていくのか?
人体を張り巡る主な経絡のうちの一つである「肺経」を例にとってみましょう。この経絡の走行は、胃のあたりから始まり、下へは大腸に連絡し、上には横隔膜をくぐって肺に達します。ついで気管、喉頭をめぐり、横へは腋下に出て上腕内側に沿って肘窩(肘のくぼみ)を通過した後、そのまま前腕内側に沿いって手関節へと進み、最後は親指の末端に終わります。この長い走行路のうちに、数多くの経穴、すなわち微小電流を測量し得る箇所(電流箇所)が点在しています。その各々の電流箇所は、それぞれ肺経に絡む諸組織の特定部位に対応していますので、その箇所の電流の異常発現は、対応する組織領域の問題の発見に、極めて高い頻度で繋がるという仕組みです。
例えば肺経のL-11の経穴(電流箇所)に異常電流が生じた場合、それは「肺実質」の問題に通じますし、L-10の経穴に異常電流が生じた場合は、「気管」自身の問題に通じていることが判明します。さらに発生した異常電流の性質をもっと詳しく分析していきますと、肺実質や気管に関わる実際の問題点として、例えば炎症性のものなのか、もしくは他の変質的なものなのか、などをより明確にすることもできます。つまり、単なる病気の問題発見だけでなく、その病気の本質を探索することにも大きな力を発揮します。
実際に“人体臓腑経絡ドック”では、どのような体の問題点や病気の原因が判るのか?
まず全般的には、体の生理機能の活動性について、肺呼吸機能、関節運動機能、細胞代謝機能などに大きく分けて、数十の検査項目のチェックを行っていきます。その中で、例えば肺呼吸機能の領域において電気エネルギーの異常信号として検査値の乱高下が発見された場合は、続いてそこだけに的を絞って、その異常信号の具体的な発生場所、性質、ならびに異変度などについて、さらに詳しく調べ上げます。例として、最近何となく体調が優れず微熱が続いているが、中々その原因に心当たりがない、という時にこのドックを施行して肺経に異常信号が見つかったとします。そこでその原因をさらに掘り下げて調べていくうちに、肺の実質に炎症性か腫瘍性か、もしくは免疫性などの何れかの異変が存在していることが判明するのです。
このように、体の問題点、病気の発生部位やその中身について、つまり、異変のある組織臓器の特定や、さらにその詳細部位、異常の程度や性質について、極めてリアルに検出することができます。但し、あらゆる異変はすべて数値化されて表わされますので、画像診断のように病変を直接目視することはできません。しかし、逆に「経穴・経絡電気エネルギー測定分析法」は、僅かな電気エネルギーの変化を通して“どのような微小病変の存在にも鋭敏に反応してくれますので、画像上で見つかる以前の段階で、諸々の微小病変の発生をより早期からキャッチできるのです。真の意味で、もっとも“未病”の発見に役に立つものと言えましょう。
“人体臓腑経絡ドック”の検査結果は、
どのように判断されていくのか?
人体ドックの検査結果から、体の状態を①良好、②経過観察、③要治療、④要精査/治療という四つのクラスに大別されます。
①「良好」の場合は、現時点では体は特に「異常なし」と判断されますので、体調の変化が見られた時に必要に応じて再検査を考えればよいでしょう。
②「経過観察」の場合は、今のところ明らかな問題点はなさそうですが、だからと言って全く異常なしとも言い難い、いわゆる疾病発生の一歩手前の「グレーゾーン」の状態にあるものを指します。通常3か月から半年以内に再検査を受けられることをお薦めします。
③「要治療」の場合は、すでに発症した疾病は言うまでもありませんが、明らかな病状をまだ現わしていない潜伏性病変を持つもの、すなわち“未病”に対しても積極的に治療を行う必要があると思われます。実際の治療にあたっては、原則として東西医学を問わずに、最も適したものを選択していく方針です。但し、“未病”に対しては、西洋医学よりも優れた養生の思想概念や方法論を持ち合わせている東洋医学の治療手法である、漢方/経絡/鍼灸療法を中心に行っていくのが大きな特徴です。
④「要精査/治療」の“精査”とは、「経穴・経絡電気エネルギー測定分析法」による再検査ではなく、他の異なる検査、例えば画像検査、血液生化学検査などの違う見地から、病態の本質や程度などを分析・確認するために行われるものです。当然ながら、再確認ができ次第に適切な治療に移ります。
人体臓腑経絡ドック”では、
漢方薬や経絡・経穴による治療の
適合性を調べることができるのか?
「経穴・経絡電気エネルギー測定分析法」は生物電磁波の特性を利用して、体を流れる微小電気の属性や分布状態を調べることにより、組織器官の異変度をスクリーニングするという仕組みになっています。その大きな特徴の一つは、電気エネルギー変化の測量を通して一般の検査よりも瞬時、かつ鋭敏に、治療に対する体の反応性を検出できることです。つまり、治療後直ちに体の帯電状況を検査比較することができますので、今の治療は果たして体に適しているのかどうか、体と治療の相性を知ることができます。その結果を参考にして、体にとってよりよい治療薬や効率よい治療手段を見つけることが可能となります。
例えば、様々な生活習慣病や慢性疾患を抱えていて、長く同じ漢方薬をのみ続けているのだが、いまひとつ薬の効果が実感できないと感じられる場合は、是非、その薬に対する人体ドックの検査をお薦めします。簡単、かつ迅速に、今服用されている薬の適性度を調べることができます。もし適性度が充分ではないと判定された場合は、改めてより適合する薬へ変更の検討をお薦めします。漢方薬の多くは、通常慢性疾患に対して体調や体質の改善、もしくは体の養生を図るために投与されますので、そうした漢方薬の性質や作用機序から、一般薬に比べて長く飲み続けないと効果が得られにくいという特殊な一面があります。従いまして、病状だけでなく体質に対しても投薬の正確さが欠けますと、極めて効率の悪い、不都合な治療になりがちです。そこで、常に処方薬と体との適合性を鑑別してくれる「経穴・経絡電気エネルギー測定分析法」を上手く活用すれば、従来の単なる医療者による主観的な投薬に比べて、より明白に、より的確な治療、またある意味では、より科学的な漢方医療を実現できるのではないかと思います。
“人体臓腑経絡ドック”の
メリットとデメリットとは?
最大のメリットは、まず安全かつ簡単と言えましょう。安全面につきましては、放射線の被爆や造影剤などの薬剤を投与する検査の必要性は、全くありません。電気プローブ一本を体の随所にある特定の経穴(電流箇所)に当てながら、そこにある電気エネルギーを次々に数値化していくだけですので、体への負担や侵襲性は皆無です。
また検査の手順自体も極めてスマートで簡単なため、通常最低でも一日二日を要する西洋医学の人間ドックに比べて、“人体臓腑経絡ドック”の基本コースの検査では、およそ一時間以内に終了できます。より精密に検査を行う場合でも、半日以内で一定の結論を出すことが可能です。すべての症例について待たされることなく、検査の当日に今後の診療方針を立てることができます。
デメリットの面に関しましては、基本的に生理的電気現象を利用した、生体の機能検査を主としていますので、組織器官の形態学的変化を有視化することができません。そのため、構造上の問題を直接捉えようとする検査目的には不向きです。
“人体臓腑経絡ドック”は妊婦、高齢者、幼少児、および身障者の方も受けられるか?
この検査では放射線や薬物の使用は一切ありませんので、胎児への影響はご心配いりません。従いまして妊婦の方には安心して検査を受けていただくことができます。もちろん高齢者や身障者の方にも、大変優しい検査です。幼少児に関しましては、ドックの検査自体には特に年齢の制限はありませんが、子供の発育上、まだ手足の大きさが不十分であったり、検査時間や検査器具などの不快感(電気的刺激はありません)に堪えられるような身体力、精神力を持たない時には、この人体ドックは不向きです。
“人体臓腑経絡ドック”は
実際どのように行われるのか?
「経穴・経絡電気エネルギー測定分析法」に利用される主な経穴(電流箇所)は、すべて手足の先端部に集中していますので、基本的に座位のまま手足の肘、膝より先の部分を露出させる程度で検査が可能です。もちろん着替えも必要ありません。実際に測定する時には、各測定箇所に順番に金属製のプローブ(直径0.4mm、電圧1.5V)を押し付けて、そこに流れている電気抵抗値を測っていきます。プローブを当てられた時には、多少の不快感を感じる場合もありますが(電気的刺激はありません)、通常極めてリラックスした状態で検査を受けることができます。測定された電気抵抗値のデータは、リアルタイムにコンピュータにて分析処理された後、その結果はグラフとして表示されます。
また、一通りの検査結果が全部出揃うまで、各経穴(電流箇所)に対する電気測定を何回も繰り返して行うことがありますので、少々退屈されるかもしれませんが、それだけとてもシンプルな検査方法とご理解ください。一般的に、煩雑な機械操作や検査マニュアルが要求される他種のスクリーニング方法に比べますと、“人体臓腑経絡ドック”はそのシンプルさ故に、検査データに影響を及ぼす不定要素の存在が極端に少なくなります。そのため検査結果は、常に高い安定性と再現性を実現ができることが大きな取り得です。
“人体臓腑経絡ドック”を
受ける時に注意すべきことは?
①検査日には、これまでの体調や体質の変化、および病歴などについてお尋ねします。また、お手元に今までの健康診断の資料や検査データなどをお持ちでしたら、是非お持ちください。今回のドックの診断の参考となります。
②内服薬に関しましては、事前にそのリスト(お薬手帳)をご用意ください。但し、検査前に予め常用薬の使用を中断する必要はありません。
③ペースメーカーや人工内耳などの電磁場を発生するような医療機器を体内に装着されている場合は、この人体ドックの実施はできませんので、こちらの方々は必ずご注意ください。但し、人工関節や人工血管などのような非電力製品の場合はこの限りではありません。
④ 検査前日、当日には、飲食や運動などを含め、日常の生活に特に制限はありませんので、いつもの通りに過ごしていただいて結構です。但し前の晩の深酒だけは、お避けいただきたいものです。
⑤いずれの病気の治療中でも、基本的に同じく検査を受けることができますが、風邪や感染症などの急性熱性疾患に罹った場合は、症状が一旦治まってからの検査をお勧めします。